「赤ひげ先生」に憧れて

岡本「僕が医師になろうと思ったのは、姉が看護職で医療を身近に感じていたことが直接的なきっかけです。一番興味があったのは外科ですが、赤ひげ先生的な存在にも憧れがありました。
子どものころ大きなケガをして手術を受けた経験があり、そのときに接した先生が自分のなかでの赤ひげ先生的なものに近く、ずっと心に残っていたからです」
山本周五郎の小説や黒澤明の映画で描かれ、困った病人を助ける理想の医者として人々の記憶に刻まれる「赤ひげ先生」。手術を終えた翌朝、さっそうと病室に入ってきて明るく声をかけてくれる医師に、少年はまぶしさを感じました。
岡本「しわくちゃのTシャツ1枚に白衣姿で、『おはよう元気か?』みたいな気さくな雰囲気が好きでした」
こうした経験から、医療の道に進んだ岡本。彼が医科大学で最終的に選んだ専攻科目は麻酔科でした。外科のさまざまな手術に接することができ、将来どんなジャンルにも応用が利くスキルを習得できると考えたのです。